居場所の基本情報
- 開催場所:豊中市庄内西町4-25-5
- 開催日時:月曜日
- 参加費:若者居場所は200円、子ども食堂は子ども無料、大人200円
- 参加受付方法:当日(申し込み不要)
- 対象者:若者、子ども、保護者
ひとことメッセージ
生きづらさを抱えた若者のための若者居場所と子ども食堂を開催しています。
運営団体
- NPO法人ZUTTO
- 豊中市くらし支援課(若者居場所 委託元)
外部リンク
アクセス
- 電話番号:06-6842-7129
- メールアドレス:guten.zutto@gmail.com
- 担当者:和田美穂
訪問レポート(2020年12月)
ゆるやかに。でも、ゆるがない。ずっと「そこにある」居場所
いこっとのWEB制作担当兼ライターの寺戸(てらど)です。
今回は庄内で長く居場所事業を続けられているNPO法人ZUTTOの和田さんにお話しを伺ってきました。
2015年から運営されている子ども食堂「ぐーてん子ども食堂」は、豊中市初の子ども食堂。他で取材させていただいた居場所でも、初めぐーてんさんにアドバイスをいただいた、というお話しも伺いました。
和田さんからお話しを伺っていると、人に興味を持ち、人と人との関わりを大事にされていること。そして、ゆるやかな空気感の中にも、居場所を続けていくことへの強い意志を感じました。
光が差しこむぐーてん。室内は様々な作品で飾られています。
子ども食堂黎明期に運営を開始
てらど
子ども食堂を始められた経緯について、教えていただけますか?
和田さん
2015年から「ぐーてん子ども食堂」を開始しました。
当時、東京で子ども食堂が始まって、話題になっていました。「こういうことができたらいいな」とFacebookでつぶやいたところ、色々な方が協力してくださって、子ども食堂が実現しました。
てらど
Facebookでのつぶやきがきっかけで…すごいですね!当時は子ども食堂自体が黎明期だったと思うのですが、運営方法についてはどのように学ばれたのでしょうか。
和田さん
最初に羽曳野市にある子ども食堂を視察にいき、運営のイメージをつかみました。
てらど
なるほど!最初しっかりイメージ固めをされたんですね。それから時間を経て、現在のぐーてん子ども食堂の特徴はどんなところだと思いますか?
和田さん
子ども1人、あるいは子ども同士で誘い合って来る子が多いことだと思います。親子で来てくれる方もいるのですが、子どもだけで来るケースが多いです。
てらど
子どもたちだけ来られるということは、それだけ安心感がある場所なのでしょうね。
ただ始められた当初は、子どもたちにとっても、子ども食堂は聞いたことのない存在だったかと思いますが、すぐに来てくれるようになったのでしょうか?
和田さん
公園にチラシを配りに行ったり、口コミでも開催を知らせていました。当時は子ども食堂自体が珍しく、見学者も多く来られました。
てらど
小学校にて、「朝ごはん会」も実施されていると伺っています。
和田さん
2019年の6月から、庄内小学校で「朝ごはん会」を実施しています。ずっとパンを寄付してくださる企業さんがいてくださり、子ども食堂に来る子たちに配るだけでなく、この物資で何かできないかと始めました。
てらど
「今ある物資」を活かして、必要な子どもたちに届けられるように活動の幅を広げられたんですね。
庄内小学校で開催されている朝ごはん会。パンと野菜ジュースを提供しています。※NPO法人ZUTTO ホームページより
開始当初からWeb広報に注力
てらど
Facebookでつぶやいたところから子ども食堂がはじまった、とお話しされていました。当初からWebでの広報にも力をいれられているのでしょうか。
和田さん
そうですね。Webページを見て、現金や食材の寄付をいただくことがあります。特に寄付をもらった時の報告などは、力を入れていますね。あとは親御さんに向けて広報している、ということもあります。Webを見て、親子で来てくれることがあります。
てらど
利用される方も、Webを見て来られることがあるんですね。寄付を集めるためにも、地域の親子さんたちに活動を知ってもらうためにも、Webでの広報は重要ですね。
NPO法人ZUTTOさんのホームページ。「ずっと続く活動を」素敵なメッセージです。
フリーマーケットで、地域住民と交流
てらど
そういえば、さきほど「カレンダーはないか?」と訪ねてこられた方がいましたね。
和田さん
印刷屋さんから余ったカレンダーを寄付していただいています。安く売るので、地域に人気で、この時期になると買いにこられるんです。
てらど
ぐーてんさんの入り口前にも「ご自由にお持ちください」と食器など日用品が置いてありましたね。庄内は、地域住民の交流は盛んなのでしょうか。
和田さん
資金作りでフリーマーケットを実施しています。先日もフリーマーケットを実施して、すごく賑わいました。何か買って帰った代わりに、家の不用品を持ってきてくれたりもします。
庄内では昔は子ども会が盛んだったそうです。今の自治会の方々は、元々子ども会活動での仲間だったりして、みなさんすごく仲がいいんですね。今は、そういった交流は少なくなったのかもしれませんね。
てらど
子ども会の運営には、人手も必要ですし、親御さんたちも活動する余裕がないのかもしれませんね。僕自身、共働きで子育てしていますが、住んでいる地域ではそういった活動に参加できる時間がありません…。
自由に持ち帰られる雑貨たち。地域交流のためのツールにもなっています。
いろんな価値観を持つ人が共存できる場所
てらど
和田さんご自身のことも少し聞かせてください。
なぜ、子ども食堂に関わるようなお仕事をされるようになったんですか。
和田さん
元々、人々の異なった価値観・文化に興味があったのですが、フィリピンで見たスモーキーマウンテンという「ごみの山のスラム」を見たのがきっかけで、国際協力活動を始めました。ネパール、フィリピン、ミャンマーなどにいました。
ただ、リーマンショックでの日本の状況を見て、日本にもこんな課題があるんだと思い、日本で活動することにしました。
てらど
居場所を運営するにあたって、心がけていることはありますか?
和田さん
ぐーてんがボランティアの方々にお配りしている「ボランティアの心得」にも記載してあるのですが、
子どもたちが楽しく過ごすことを優先しているため、いわゆる「しつけ」はしていません。
「言葉の暴力などはあかんで」と話しますが、行儀や、苦手な食べ物とかも強要はしません。親御さんにもしつけはしない、ということは伝えています。宿題もやるならやるでいいけど、という感じで強制しません。
てらど
なぜ、そのような運営方針を採用されているのでしょうか?
和田さん
やっぱり、【来てもらってなんぼ】なので。
来てもらって、いろんな子どもや大人と一緒に遊んで、楽しかったなという時間を過ごしてもらうことを目的にしています。
てらど
そのような自由な環境の中で、子どもたちはどのように過ごしていますか?
和田さん
自分の中で、強いこだわりを持っている子もいます。でも、そういう子たちも、気づいたらなんだかんだと他の子たちと混ざって、一緒に人生ゲームをしてたりします。そうやって試行錯誤しながら、成長しているのかもしれません。
ぐーてんさんのグランドルール。人を傷つけないこと、楽しい時間を過ごすこと。
居場所運営者へのメッセージ
てらど
最後に、居場所を運営されている方、始めようとされている方にメッセージをいただけますか?
和田さん
同じスタッフがずっと継続して対応しているという部分は大きいかもしれません。
スタッフがころころ変わっていたら子ども達も定着しにくいと思います。一緒に過ごした時間の長さって大事だと思います。
最終的には人と人との付き合いなんだろうなと思います。私も、来ている人たちの影響を受けて、いろんなことを学んでいきます。
もう1点は、自分たちが楽しいと思えていないと楽しんでもらえないと思います。活動をしていて、自分たちが楽しい、と思えることも重要だと思います。
壁には、塗り絵や書道作品が並びます。
まとめ
豊中では他の子ども食堂もお手本にされているぐーてんさん。NPO法人ZUTTOのホームページにもあるように「ゆっくりでもずっと続く活動を」を実践されていました。
活動を継続していくために、広報やフリーマーケットなど楽しみながら活動の幅を広げられており、そこに呼応するように地域の人たちが集まってきているのが印象的です。
ルールに縛られるのではなく、楽しく過ごせる場所。個性豊かな作品が飾られているぐーてんさんの室内を見るだけで、その空気感を感じることができました。
和田さん、お忙しい中、ありがとうございました!!
和田さんと。ぐーてんの前で。