交流・体験等

【学習支援、交流・体験等】未来SS義塾

居場所の基本情報

  • 開催場所:豊中市中部地区内の公共施設(共同利用施設「曽根東センター」、障害福祉センター「ひまわり」、豊中市中央公民館)
  • 開催日時:平日18:00~22:00
  • 参加費:団体ホームページ参照
  • 参加受付方法:随時、事前申込み
  • 対象者:主に中高生

ひとことメッセージ

“Leave No Child Behind”を理念とする総合学習支援事業を展開しています、

運営団体

  • 未来SS義塾

外部リンク

アクセス

  • 電話番号:090-5892-7400
  • メールアドレス:y1m1m0t00802@kem.biglobe.ne.jp
  • 担当者:山本和央

訪問レポート(2021年1月)

小さな成功体験を積むことを大事にした、地域の学び舎

いこっとのWEB制作担当兼ライターの寺戸(てらど)です。

今回は、曽根で学習支援をしている未来SS義塾の山本先生にお話しを伺ってきました。

子どもたちの理解度に合わせた学習支援を実践、地域になくてはならない学習の支え場となっています。

未来SS義塾に通う子どもたちのスコアアップの秘訣は【小さな成功体験の積み重ね】。さらに、その成功体験を積み上げるために日々活動を続けておられる山本先生自身の「学びが好き」という気持ちを感じるインタビューとなりました。

山本先生。話すととっても優しいです。

子どもたちの理解度に合わせたクラス編成

てらど
てらど
本日はよろしくお願いします。まず、どのような形で学習支援をしているか教えてください。
山本さん
山本さん
科目別/学年別/能力別でクラスを分けて、レベルに応じた形で指導しています。人数は1クラスに8~10名程度です。

まず子どもたちの前でレクチャーをして見せて、その後に子どもたちを順番に当てていって発表してもらいます。解答できたときは、認める/褒めることで、自己肯定感があがっていくと考えています。

てらど
てらど
能力によってクラスをわけるというのは、子ども達や親御さんからすると差別とも捉えられることもあるのかも…と思ってしまうのですが、正直な話、そのあたりの反応はどうでしょうか。
山本さん
山本さん
クラスを分けたからといって、下のクラスの子たちに対していい加減に指導しているわけではありません。

やるからにはしっかり指導しますし、そういう大人側の態度はしっかり伝わっているのだと思います。

てらど
てらど
真剣に教えているという態度が伝わっていれば、逆に自分のレベルに合った学習を受けられるというのはメリットですものね。

居場所の利用の仕方としては学習メインになると思いますが、子どもたち同士の交流などはあるのでしょうか?

山本さん
山本さん
未来SS義塾は、あくまでも勉強を通じた居場所で、スコアアップを目的にしています。居場所の利用中に関しては、子ども同士で遊んだりすることはあまりなく、みんな静かに勉強していますね。
時間割表。学年、科目、そして学習レベル毎に分かれています。

学習支援をはじめて見えてきた地域の課題

てらど
てらど
山本先生が学習支援を始められたきっかけについて教えてください。
山本さん
山本さん
最初は、妻が友人の子どもたちを連れてきたんです。私自身が学生時代に家庭教師や塾の講師をやっていたので、教えられるだろうと笑。

その時教えていたのは貧困家庭の子たちというわけではなく、小学校時代に塾に行っておらず、いきなり塾に行くのは敷居が高いというのがニーズでしたので、「寺子屋」のような形で勉強を教えていました。その子たちを教えていた2年間に個別教材をたくさん作りまして、その教材が今の学習支援でもベースになっています。

てらど
てらど
最初は奥様の【無茶ぶり】から始まったのですね笑。そこからどのような経緯で、今の学習支援の形になっていったのでしょうか。
山本さん
山本さん
2年間の学習支援の後、豊中市の子ども審議会委員に参加し、そこで豊中市の教育にまつわる問題が見えてきました。豊中は南北で貧富の差があること、塾に行きたくてもいけない子ども達がいること、母子家庭が多いこと。

その後、保護司※にもなったのですが、その活動で出会った青年のほどんどは中卒でした。家庭が貧困家庭で、進学ができずに悪の道に進んでいった。一言でいえば、そういった子たちを救いたい、という気持ちになったんです。

※保護司とは?:犯罪を犯した人や非行に走った人たちの立ち直りの援助や、地域住民からの犯罪や非行の予防に関する相談に応じ、必要な助言・指導を行うなど、更生保護行政の重要な役割を担っています。

てらど
てらど
そうして今の形の学習支援をはじめられたんですね。

必要なご家庭に支援を届けるために、どのようなアプローチをされていったのでしょうか。

山本さん
山本さん
経済的に厳しい家庭は新聞は取らないことも多く、折り込みチラシなどでは効果が望めず、正直困りました。

活動継続のために「とよなか夢基金」の助成を受けました。「ワニのマーク」の後ろ盾があることで、中学校も動いてくださり、全校でチラシを配布していただきました。また、保護司の活動を通じて、学校との関係ができてたことも大きいと思います。

チラシ配布の半年後くらいに恐る恐る電話をかけてくるご家庭もありました。貧困家庭が対象とは書いていませんでしたが、経済的に困っている家庭の方も来られますし、発達障害の診断を受けている子もきます。

そういう子たちは学校のクラスの中では埋没してしまいますので、一対一の個別対応をする場合もあります。

個別学習教材の一部。色や図がたくさん使用されています。

学習とは「小さな成功体験」を積むこと

てらど
てらど
「勉強を教える」という意味で学校や塾と役割が重複している部分もあると思います。

学習支援の居場所として求められている機能には、どういったものがあると思われますか?

山本さん
山本さん
個々に応じた対応、個の能力を伸ばすことではないでしょうか。

学習に課題のある子は家庭や学校で厳しく指導されてきた子もいるのではないかと思います。「ほめられる経験」が圧倒的に不足しています。そういう子どもたちって、褒められたらすごいいい笑顔になるんです。

できことがあれば、しっかり認めてあげる。簡単な課題でもいいので、小さな成功体験を繰り返すことが重要だと思います。

てらど
てらど
そういった小さな積み重ねが、子どもたちの自己肯定感を育み、もっと学びたいというエネルギーにもなっているのですね。

とても意義のある活動だと思いますが、それと同時にとても根気も必要な活動でもあると思います。山本先生が学習支援の活動を続けられる原動力は、どこにあるのでしょうか?

山本さん
山本さん
ジョージ・マロリーが「そこに山があるから」と話したといいますが、それは「好きだから」ということではないでしょうか。辛さは感じたことはありません。元々「なんとかなるか!」と考える楽天家でもあります。

保護司をする前は住宅関係の仕事をしていて、支援をすることに対して全く知識はありませんでした

社会福祉士の中に【更生保護】という科目があったことをきっかけに勉強してみようと、専門学校の通信教育課程を修了し、国家試験を受け資格を取りました。その経験により、老人・貧困の問題など、生きづらさに関する諸問題の知識をある程度勉強できたと思います。そこで得た知識が、今ベースになっています。

てらど
てらど
常に学び続ける姿勢、尊敬します。

先生ご自身が「学ぶこと」で道を切り開いていくことを体現されているのだと感じました。本日はお忙しい中、ありがとうございました。

一つ一つの質問に丁寧に答えてくださいました。

まとめ

未来SS義塾は、子どもたちの「小さな成功体験」を積み重ねるために、クラス別学習を実践されている学習支援に特化した居場所。実際に来る子どもたちの実情に合わせて柔軟に運営を変化させていっておられるのが印象的でした。

何より、山本先生ご自身が常に学び、知識をアップデートされています。そのような「大人の姿勢」が子どもたちに与えている影響も少なくはないのではないでしょうか。

山本先生、お忙しい中ありがとうございました!!

山本先生と。広々としていて、集中して勉強するにはもってこいの部屋でした。