交流・体験等

【学習支援、交流・体験等】人権平和センター 蛍池

居場所の基本情報

  • 開催場所:大阪府豊中市螢池北町2丁目3−1 人権平和センター蛍池
  • 開催日時:月:10~18時、火~金:15~20時、土・長期休み:10~17時(18時からは中学生以上)
    火・木:18~20時 学習サポート(中学生以上)
    ※日・祝日・年末年始は休み
  • 参加費:無料
  • 参加受付方法:事前申込み
  • 対象者:小学生~高校生

ひとことメッセージ

「居場所」や「学びの場」を提供し、自信や達成感を感じ、自己肯定感や自尊感情を育むとともに、人との関わり・つながりの中で、自分らしく「生きる力」を育んでいきます。

運営団体

  • 一般財団法人とよなか人権文化まちづくり協会

外部リンク

アクセス

  • 電話番号:06-6841-2315
  • 担当者:大塚かおり

訪問レポート(2021年6月)

子どもたちの【気持ち】と向き合い、他者と関係を築く力を育てる

いこっとのWEB制作担当兼ライターの寺戸(てらど)です。

今回は、人権平和センター蛍池にて「こども多世代ふれあい事業」を受託・運営されている一般財団法人とよなか人権文化まちづくり協会の大塚かおりさん、またかおりさんのお姉さまであり、以前同施設で子ども事業に携わられてきた地域ボランティアの大塚幸美(ゆきみ)さん、お二人にお話しを伺ってきました。

現代では、SNSで世界中の人々と繋がれるようになりました。

でも、人と人が実際に触れあう機会が少なく、自分と違う価値観を持つ人と向き合う機会が少なくなっている時代だとも感じます。

お話しを伺っていくと、子どもたちが自分と価値観の違う人と関係性を作っていけるようにするため、日々子どもたちの気持ちと逃げずに向き合い続ける真摯な姿勢が見えてきました。

子どもたちへの想いと現場の熱が伝わってくるインタビューでした。

学習以外にも、様々な体験ができる

てらど
てらど
はじめまして、本日はよろしくお願いいたします。

まず、事業内容について伺ってもよろしいでしょうか。

かおりさん
かおりさん
よろしくお願いします。

平日の15時~18時、土曜日は10時~12時と14時~17時に開室しており、事前登録していれば自由に来ることができます。平日は元々14時~17時に開室していましたが、低学年の子たちの足でここまで来る場合、14時を過ぎてしまうんですね。遊びも、宿題もきっちりやってほしいと思い、この6月から15時開始に変更しました。

学年ごとに時間を分け、学習クラブで勉強をしてもらっています。土曜日にはイングリッシュクラス、書道教室や和太鼓教室も開催しています。またスポーツクラブも実施、今年は1年を通してバスケットボールをする予定です。講師は元中学校で教師をされていた方など専門的な方に来ていただいています。

てらど
てらど
取り組み内容が幅広く、驚きました。子どもたちが、色々な学習・体験ができるよう工夫されているんですね。

普段は、どんな子どもたちが利用していますか?

かおりさん
かおりさん
蛍池北町に住む子どもたちが半数以上ですが、他の地域からも来てくれる子どもたちがいます。また塾にも通っているけれど、こちらにも来てくれる子もいます。

図書室を「つながりルーム」として中高生がくつろげる場所として開放しており、以前実施したアンケートで「学年の違う友達ができた」という声も聞きました。

てらど
てらど
小・中・高と「多世代ふれあい事業」の名前のとおり幅広い年齢層が来ているし、実際交流ができているんですね。
楽しんで宿題ができるよう一つ実施毎にシールを貼ってもらえる「マイレージ」という仕掛けも。スタッフのみなさんが知恵を絞っています。

気持ちを大事に、声をかけ続ける

てらど
てらど
人権平和センター蛍池では、長い間、子どもたちと関わってこられたと思います。時間とともに、子どもたちの様子が変わってきたと感じることはありますか?
幸美さん
幸美さん
私が6年前ほどに児童館事業をしていた頃と、子どもたちの様子が違うのは感じます。当時は毎日活動があり、多くの時間をかけ子どもたちと向き合えていました。

以前は、日常の中で助け合う意識が自然と生まれていたような気がします。

てらど
てらど
子どもたち同士、また子どもと大人が触れ合う機会が少なくなっていると僕も感じています。
かおりさん
かおりさん
運営を始めたばかりのころは、正直大変でした。

他の子が泣いていても、気にならずに個々で遊んでたり、靴のまま机の上を走ったり、汚い言葉も飛び交ったり…。スタッフの名前を呼ばず「おい、お前!」と呼ぶような子もいました。

てらど
てらど
その大変な状況の中で、どのように対応していったのでしょうか。
かおりさん
かおりさん
1回1回、「私はこう思ってるよ」ということを伝えていきました。

スタッフのことを「お前!」と呼んでいた子には「かおりさんは、名前を呼ばれなかったら嫌やで。自分やったらどう思う?」、泣いている子がいたら「みんな、気にならない?」と声をかけ、話し合いの場を持ちます。泣いている子に対しても「なんで泣いているか」を表現できるよう声掛けをします。

あかんことをしたらあかんと伝える。

そのうちに、スタッフのことも名前で呼んでくれるようになり、泣いている子がいたら高学年の子たちが「みんな集まって!」と自主的に話し合うようになって。その様子を見守っていますが、子どもたちだけで解決できないときにはお呼びがかかります(笑)

てらど
てらど
悪いことをしたらそれを一方的に禁止するのではなく、子どもたちの気持ちに、向き合い声をかけることで、子どもたちの内側に変化が起こっているような気がします。高学年の子たちも頼もしいですね。
かおりさん
かおりさん
ここ以外の場所に行った時でも、他の人と関係を作れるようになることを意識して、子どもたちと関わっています。
居場所のグランドルール。自分や他の子の「気持ち」を大事にされています。

子どもたちと向き合う=大人が自分自身と向き合う

てらど
てらど
お話を伺っていて、子どもたちと向き合い、内面的な変化を起こしていくには時間が必要だと感じました。
幸美さん
幸美さん
子どもと向き合うことって、実は自分自身とも常に向き合うことなんです。正解はありませんから。子どもたちや親御さんからたくさんのことを教えてもらいました。

同じ声掛けでも、子どもたちの精神状態や状況で捉え方が違います。大人だって間違ってしまうこともありますが、そんな時は「ごめん!なんとかするから」と自分の責任にも向き合っていきます。

てらど
てらど
子どもたちに何かが起きた時、支援者側がその場面を見逃さず、気持ちと向き合うことはとても大事ですが、同時に多くの時間と労力が必要だと感じます。

ただ、コロナ禍で、子どもと向き合う時間も少なくなっているのかと思います。また勉強することが多すぎて、子どもたちの「気持ち」が置き去りになっている気もします。

幸美さん
幸美さん
子どもたちが遊ぶ場所はなくなっていますね。

昨年5月の緊急事態宣言で、親御さんも子どもたちも「家の中だけでも過ごせてしまう」というのが良くも悪くもわかってしまったのかな、とは思います。

てらど
てらど
僕自身が二人娘を育てているのですが、確かに家で過ごす時間が多くなっています。学校で過ごす時間の割合も多くなっていますが、学校との役割の違いなどはありますか?
幸美さん
幸美さん
学校では大人しくて目立たないけれど、居場所にきている時は活発で、先生がびっくりされていたことがありました。逆に居場所では大人しいけど、学校では反抗的な態度の子もいたり…

「どっちがそのことの本当の姿なの?」と思いますが、学校だと子どもたちにブレーキがかかっていることもあると思います。

かおりさん
かおりさん
さきほどスタッフを「お前」と呼んでいた子のことを話しましたが、大人を信じられるか試すために、あえてそういうことをやっている側面もあると思います。

スタッフ全員にも「とにかく声をかけ続けてください、いいことをしたら褒めてください、ただ悪いことをしたときに絶対に流さないでください」と伝えています。

てらど
てらど
大人が一貫した態度で関り続けること、たとえ間違ったとしても、それを認め、大人自身も責任と向き合うことが大事なんだと、教えていただきました。
ふれあいルーム。講座などではなく、中高生が交流できるスペースとして開放されています。

フィルターを通さずに、子どもたちと向き合う

てらど
てらど
最後に、子どもの居場所運営を始める方にメッセージをいただけますでしょうか。
かおりさん
かおりさん
私たち自身も日々必死で運営しているだけなのですが…やはり「子ども一人一人と向き合うこと」でしょうか。
幸美さん
幸美さん
そうですね、事前にもらった情報は、一度捨てて子どもたちと向き合った方がいいと思います。プロフィールシートをもらったり、「あの子ってこんな子やで」という情報がありますが、実際に向き合ってみると全く違う場合があります。
てらど
てらど
いろんな情報はあるけれど、先入観を持たずに目の前の子どもたちと向き合う、ということですね。
かおりさん
かおりさん
後は、つらい時や迷った時には、一緒に働く仲間に打ち明けて、共有することが大事だと思います。
てらど
てらど
子どもたちと向き合うのは、大人たちの体力や精神力もかなり使いそうです。仲間たちとつらさを分かち合う、とても大事な視点を改めて教えていただき、ありがとうございます。
「なんでも聞くよBOX」直接相談できない子どもたちのための仕掛けも用意されています。

まとめ

「人権平和センター蛍池」の近くを歩いていると、センターのことを「解放会館」と話されている方がいました。この施設には部落解放運動から連なる差別との戦いの歴史があります。

幸美さんは「差別をなくす仲間づくり」をしている、とも話されていました。

他者と関わるときに、「相手の気持ちになって考える」というのは当たり前のように語られます。でも、今の社会でどれだけの人が相手の気持ちを考えているでしょう。ひどいこと発言を見た、聞いた、そんな時に「ちょっと待って、話合おう」と声を上げる人がどれだけいるでしょうか。

大塚さんたちが子どもたちの気持ちに向き合い続ける姿、そこに【価値観の違う他者と理解し合える、差別のない世界】の萌芽を見た気がします。

大塚さん、お忙しい中インタビューに答えていただき、本当にありがとうございました!

各部屋を回りながら説明してくださいました。お忙しい中、ありがとうございました。
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