子どもの居場所

【学習支援】にこれる

居場所の基本情報

  • 開催場所:豊中市曽根東町4丁目2−6
  • 開催日時:毎週月・水・金の17:00〜22:00
  • 参加費:1コマ(1時間)200円。1日(4コマ)授業受け続けても500円までしか徴収しない。1スタンプ100円分のチケット制度で、前払い。月額制(いつでも好きな時に来て良い)では4000円。
  • 参加受付方法:随時
  • 対象者:小学生、中学生、高校生、相当の年齢の子ども

ひとことメッセージ

学習支援教室 にこれる です!!大学生、高校生がボランティアで先生として活動しています。

運営団体

  • にこれる

外部リンク

アクセス

  • メール:nicorel2022@gmail.com
  • 担当者:林 歩乃歌

訪問レポート(2023年3月)

「塾」でも「家」でもない、アットホームな居場所を目指して

いこっとのWEB学生ライターの森島です。

今回は、曽根東町で「にこれる」を運営されている大学生の辻さんと高校生ボランティアの阪本さんを訪ねました。

『たのしく勉強し「に来れる」、美味しいご飯を無料で食べ「に来れる」、みんなが「にこ」っとな「れる」』をコンセプトに、学習支援の活動に加え、食事提供等の活動をされています。

活動を始められたきっかけや、活動に込めた思いについて、インタビュアーの寺戸とお話を伺ってきました。

開催前の時間にインタビューに答えてくださいました。

自分たちだけの力で、居場所づくりに挑戦

寺戸
寺戸
本日はよろしくお願いします。まずは「にこれる」を立ち上げたきっかけを教えてください。
辻さん
辻さん
以前、別の団体で学習支援の活動に参加していました。活動を続ける中で、自分たちの力で挑戦したいと思うようになり、僕と共同代表の林さんをはじめとする約10人のメンバーと、昨年4月に立ち上げました
寺戸
寺戸
大学生のチームで立ち上げるってすごいですね!立ち上げにあたって、不安なことはありませんでしたか?
辻さん
辻さん
以前活動していた団体での経験があったので、学習支援自体のやり方はある程度不安なく始められました。ただ、自分たちだけでやるということで、特に運営面の事務作業、保護者対応等、これまで関わってこなかった作業が増え、学業と並行でやるのは苦戦しましたが、少しずつ慣れてきました。
寺戸
寺戸
学生さんだけで運営するのは、大変なことも多いと思いますが、やりがいがありますし、今後の糧にもなりそうですね。阪本さんは、どのようなきっかけで「にこれる」に参加されたのですか?
阪本さん
阪本さん
ボランティア情報サイトのActivo(アクティボ)で「にこれる」の活動を見つけて、昨年9月に加入しました。大学受験が早く終わったことと、教育学部に進学し、今後は教員免許を取得するつもりなので、将来に向けて何か始めたいと思ったのがきっかけです。今は、自分自身の経験を踏まえながら勉強を教えることに加えて、事務作業のお手伝いもさせていただいています
寺戸
寺戸
事務なども分担して、チームとして運営しているところが素敵ですね。具体的な活動についても教えていただけますか?
辻さん
辻さん
毎週火・木・日の17:00~21:30に開催しています。今は生徒がたくさんいるわけではないので、1対1での指導が基本です。勉強したくない子は、学生ボランティアあるいは子どもたちと遊んだり話したりと、思い思いの時間を過ごしています。
寺戸
寺戸
週3回も活動されているのですね。地域における学習支援、居場所活動へのニーズはどのように捉えられていますか?
阪本さん
阪本さん
僕たちに求められているのは、「勉強を教える」ことだけではないと感じています。最初に「にこれる」を訪れた時から、食事提供や空間として「ある種の居場所」として成り立っていると感じていました。みんなと話したり、学習以外の大切なこと、言い換えれば生きる上で必要なことを教えるのも居場所における教育なのではと思います。
玄関にチラシを設定。デザインもわかりやすく工夫されています。

スタッフ、子どもとの自然な会話が生まれる子ども食堂での経験から、食事提供へ

寺戸
寺戸
先ほど食事提供の話が出てきましたが、学習支援以外にはどのような活動をされているのですか?
辻さん
辻さん
地域の大人の方の協力をいただき、19時からは食事を提供しています。季節ごとにクリスマスなどのイベントを開催したり、学習支援だけではなく、人としての学びを得る場になるよう工夫しています。子どもたちにも楽しいと言ってもらっています。
寺戸
寺戸
子どもたちからの「楽しい」の声は嬉しいですね!なぜ食事提供を始められたのですか?
辻さん
辻さん
以前から食事提供はしたいと考えていました。誰でも気軽に食べてほしいので、食事は無償提供です。調理や配膳を手伝ってくれる子もいます。

高校時代、授業の一環で団欒長屋プロジェクトさんの活動に参加しました。それまでは、子ども食堂のことは知りませんでした。子ども食堂は、ただ食べるだけではなく、食事を準備しながらスタッフさんと会話したり、食事中は子どもと会話をしたり、「子どもの居場所」という雰囲気を知りました

団欒長屋さんでのボランティア活動の経験から、食事提供を通じて、よりアットホームな居場所にしたいなと考えるようになり、「にこれる」での食事提供をスタートしました。

寺戸
寺戸
高校時代のご自身の経験が、今に活きているのですね。
食事メニューも毎回工夫を凝らして提供されています。(activoより)

学生さんたちが一丸となって、様々な子どもたちが楽しみながら関わりを持てる居場所作り

寺戸
寺戸
「にこれる」には、どんな子どもたちが来ているのですか?
辻さん
辻さん
普通に学校に通っている子はもちろん、勉強が苦手な子、障害のある子、不登校がちな子も来ています。様々なニーズの子どもたちに、分け隔てなく、関わることを大事にしています
阪本さん
阪本さん
子ども、先生(学生ボランティア)、関わる人すべてがアットホームな空間として「にこれる」で過ごせるように意識しています。中には、部屋着やパジャマでくる子もいたり、家族のような雰囲気です。「ここ(=「にこれる」)ってそういう場所(パジャマで来ても良い場所)じゃないの?」と参加している子から言われたことがあります。週に3回の「楽しさ」を求めてきているのではと感じています。
寺戸
寺戸
皆さん学生ということで、サークル活動やアルバイトもしながら、「にこれる」で活動されているんですよね?
辻さん
辻さん
はい、ほとんどの学生がサークル活動とアルバイトと掛け持ちで「にこれる」の活動に参加しています。もちろんアルバイトと違って、お金を貰えるわけではないですが、「やりがい」がモチベーションになっているのではと感じます。
阪本さん
阪本さん
「勉強がわかった」、「勉強へのやりがいを感じている」といった子どもたちからの直接のリアクションがモチベーションにつながっています。
辻さん
辻さん
「成績が上がった」という声も嬉しいですが、運営側として、子どもたち、学生が楽しくしている様子を見るのが、やってよかったと思える瞬間です。保護者の方からのお言葉も嬉しいですね。
寺戸
寺戸
運営側から見えてくるものもあるのですね。
辻さん
辻さん
「みんなで一つのことをやる」という雰囲気づくりを大切にしています。
学生さんたちのチームワークが良い様子も伝わってきます。(activoより)

地域に根差した、様々な子どもたちの居場所を目指して

森島
森島
子どもたちはどうやって「にこれる」を見つけているのですか?
辻さん
辻さん
以前所属していた団体の子どもたちや、その子の兄弟や友だちなど、つながりで来てくれる子どもが多いです。他には、つながりのあるフードパントリーin豊中さんやぶどうの実さんでチラシを置かせてもらったりしています。今後は、近所のお祭りに参加して宣伝をするなど、より一層地域に関わっていきたいと考えています。
寺戸
寺戸
今の活動で困っていることや、今後の展望などを教えてください。
辻さん
辻さん
資金面はかつかつです…でも授業料は上げたくないですし、実現可能性はさておき、むしろ下げたい、いつかは無料にしたいと思っています。ある程度の料金を取ってしまうと、近隣の塾と同じになってしまいます。
阪本さん
阪本さん
僕たちが小中学生の時もでしたが、塾に通っている子がほとんどです。小学生でも実は勉強についていけないけど、金銭的事情で塾に行けない子がいると思います。中には、金銭的事情だけでなく、塾が合わない子、親が気づかず放置状態になってる子など、特別なサポートが必要な子もいます。誰でも気楽に楽しく勉強できる場所をつくっていきたいです
食事は無償であることにもこだわり、地域のニーズに応えています。

自分自身も楽しめる、成長できる場所。まずは一歩を踏み出してほしい。

寺戸
寺戸
最後に居場所を運営する皆さんに、メッセージをいただけますか?
辻さん
辻さん
きっかけがないとなかなか踏み出しづらいとは思いますが、勇気を出して一歩踏み出してみると、意外な楽しさに出会えます。「ボランティア=犠牲を払う」とかではなく、気軽に子どもたちと楽しく接することができる、自分も楽しめる場所。子どもの居場所って、そんな場所です。身構えたりせず、一度足を踏み入れてほしいです。
寺戸
寺戸
ちょっとの勇気が大切なのですね。阪本さんはいかがですか?
阪本さん
阪本さん
最初は不安でしたが、やってみると、意外と色々できる自分がいました。自分自身の経験を子どもたちに伝えながらも、生徒と共に学んでいくことを意識しています。自分にはできないとか思わずに、まずは一歩踏み出してみてください。他のメンバーが必ず助けてくれます。
辻さん、阪本さん、今後の展開を楽しみにしております!

まとめ

「自分たちで学習支援を立ち上げたい」という強い思いを持った辻さん。将来を見据えて、自分自身の経験を子どもたちに伝えたいとボランティアとして参加されている高校生の阪本さん。学生の力だけで運営するという難しさを感じながらも、自分たちの力で挑戦したいという強い想いを原動力に、チームで力を合わせて取り組まれているのが印象的でした。

また、食事提供に込められた思い、全ての子どもたちに分け隔てなく、居場所を提供したいという皆さんの思いが、子どもたちにも伝わっているのだと思います。
学生の皆さん自身の経験が、現在の「にこれる」の活動に強く活かされていると感じました。

辻さん、阪本さん、インタビューにお答えいただき、ありがとうございました!