訪問レポート(2022年3月)
いこっとのWEB制作担当兼ライターの寺戸(てらど)です。
今回は、曽根にある豊中市立文化芸術センター(以下、文化芸術センター)内にある「ORION COFEE」の柴田さんにお話しを伺ってきました。
「ORION COFEE」では、一般のお客さんからの寄付を「子どもチケット」として店内に掲示していて、子どもたちはチケットを利用すれば、サンドウィッチとジュースを受け取ることができます。
なぜ子どもチケットによる子ども食堂を始められたのか、スタッフの柴田さんにお話しを伺いました。
緑が多く、くつろげる空間です。
地域に開かれたカフェにしたい
てらど
チケットを利用した子ども食堂の取り組みを、始められたきっかけを教えていただけますか?
柴田さん
「ORION COFFEE」は去年の6月にオープンしました。文芸芸術センターの中にありますが、クラシックやバレエなどのイメージも強く気軽に訪れにくいかもしれない、
「カフェ」で地域への間口を広げていきたいというオーナーの思いがありました。
そんなオーナーの意向と、私たちスタッフの気持ちも重なって、今の子どもチケットを始めました。私自身も子育てをしていますが、子どもの課題は昔と違って見に見えにくくなっていると感じます。「子どもたちの居場所づくりがしたい」という気持ちがありました。全くわからない状況からスタートして、今やり始めたところ、という感じです。
てらど
「子どもチケット」を利用するのは、どのような方が多いですか?
柴田さん
中学生以上の子たちが宿題をしにきてくれています。実際、カフェとして営業していることもあり、小学生以下になると子どもたちだけで来ることはあまりありません。
未就学児のお子さんを連れてこられるお母さん達も多いです。お母さん達は、みなさんリラックスされているご様子ですね。
「こどもチケット」は、注文カウンターのすぐ下に貼られています。子ども達はチケットを渡すだけでOK。
通常営業もある中で、子ども食堂を続けていくための「チケット制」
てらど
月数回など呼びかけをして開催する団体なども多いですが、なぜ「子どもチケット」の方式を取られることになったのですか?
柴田さん
普段はカフェとして営業していますし、文化芸術センターで演奏会があるときなどは、どうしてもお店が混雑してしまいます。
そんな時に、子どもたちの要望を断ってしまう形になるのが嫌ですし、やるならちゃんとやりたいという思いがあります。「子ども食堂」の形式については、現状は時間を作る難しさもあって、チケット制がいいかなと思っています。
てらど
チケット制の運営で、工夫されていることはありますか?
柴田さん
子どもたちがせっかく来てくれたのに食事が提供できないことがあっていけないので、メニューはあらかじめ「サンドウィッチとジュース」と決めています。また、
もしかしたら色々な事情があるかもしれないですが、レジで言わせてしまうのも…という思いから、チケットへ渡すだけで食事を、提供させてもらうようにしています。
地域では子どもたちの自由がなくなってきているように感じるので、もっと羽を伸ばしてほしいです。
てらど
確かに、子どもたちが事情を言わずにふらっとこれられる利点がありますね。いわゆる子ども食堂だけでなく、お店や公園など、地域の中にもっと居場所が必要だと改めて思いました。
子どもたちとは、どのような関わり方をされているのでしょうか?
柴田さん
子どもたち側からお手紙をくれたり、いい関係ができています。あまり特別視すると来づらくなると思うので、「気楽に行けるところ」であってほしい思っています。
チケットは常連のお客様からご寄付いただくことが多いですが、お孫さん以外の子どもたちと地域で関わることも少なくなったので「チケット制のような形が関わりやすい」という声も聞いています。
てらど
子どもたち自身もプライバシーに関する教育を受けていたりしますし、チケット制は大人たちが気軽に地域に関われる手段でもあるのかもしれませんね。
チケットを寄付した方からのメッセージも掲示されています。
これから居場所を始める方にメッセージ
てらど
最後に、子どもの居場所を、これから始められる方に対してメッセージをいただけますか?
柴田さん
そうですね、私たちもまだ始めたばかりで手探り状態ではあるのですが、
長く続けていくために、「できることから」はじめることでしょうか。続けられないと、子どもたちの信頼が得られなくなってしまうのではと思っています。
子どもたちをがっかりさせないように、できる範囲で続けながら、少しずつ広げていくのがよいかなと思っています。
メニュー看板の横には、子ども食堂の看板が。「たねをまこう。ごはんをたべよう」
まとめ
「ORION COFFEE」さんは、文化芸術センター内を地域に開かれた場所にしていきたいと「子どもチケット」を利用した子ども食堂を開催されています。通常営業の中でも、継続できる形での運用を模索しながら続けられており、子ども達が気軽に来られる居場所になっているようです。
地域の商店、施設など色々な場所が、できる範囲で、子ども達が気軽に行けて羽を伸ばせる居場所が増えていくために、チケット制のような誰しもが参考にできるノウハウも重要だと感じました。
柴田さん、お忙しい中インタビューにお答えくださりありがとうございました!
開放感があって、緑も多く居心地の良い場所です。文化芸術センターの利用がなくともカフェは利用できます。