訪問レポート(2022年9月)
キャリアを終えた後も。経験や繋がりを活かした居場所づくり
いこっとのWEB制作担当兼ライターの寺戸(てらど)です。
今回は、豊中市の上野小学校校区にて、ご自宅の一部を解放して居場所「ばぁ〜ちゃんち」を月1回、水曜日に開催されている三木さん、そして運営を手伝っておられる鈴木さんにお話を伺いました。
ばぁ〜ちゃんちをはじめたきっかけや、現在の様子や今後の展望についてお聞きしてきました。
ご自宅を開放されて居場所を運営されています。
写真撮影:たつの もえこ
子どもたちが早く帰宅する水曜日に開催
てらど
本日は、よろしくお願いいたします。まず、活動内容について教えていただけますか?
三木さん
月1回、
学校の授業が短くて早めに帰宅できる「水曜日」に開催しています。はじめたばかりの頃はコロナの感染状況をみて、5名からはじめました。これまでコロナの影響で中止も2回ありましたが、現在は定員の10人いっぱいで子どもたちがきてくれています。
活動内容は事前に5人のメンバーが考えチラシを作り、周知するようにしています。電話で事前申込みをしてもらっています。
てらど
「ばぁ〜ちゃんち」をはじめられたきっかけは、どんなものでしたか?
三木さん
退職してから、ボランティアを色々してきました。その後、
何もせずに過ごしていた時期があって、友人と何か活動したいねと話していたんです。
そんな時、「広報とよなか」に「子どもの居場所」と書いてあって。すぐに「いこっと」の事務局へ連絡しました。
てらど
「いこっと」をきっかけに新しい居場所がはじまったのは、とても嬉しいです!
ばぁ〜ちゃんちのチラシ。先半年分の予定を事前に配布しています。
経験と地域の実情をすり合わせていく
てらど
「いこっと」についての広報をご覧になって、居場所を始められたということでしたが、元々子どもたちに対して関心があったのでしょうか?
三木さん
初赴任の児童館で子どもたちをキャンプ場へ連れて行ったり、学習指導、グループ遊びを体験しました。阪神大震災の後に西宮で実施されていた藤本義一さん提唱の「100円塾」という取り組みを、上野小学校でやっていました。
子どもに関心があったのでしょうね。
てらど
福祉に関心があった、というよりは、元々福祉関連のお仕事をされていたということなんですね。
三木さん
ゆりかごから墓場までの職場ですね。このばぁ〜ちゃんちも学校へ行けない、勉強についていけない、または両親が面倒を見れない子どもたちをみたいという思いがあって、いこっと事務局の方とも話し合いをしました。
話し合いも経て、特に条件は設けずに、近所の子どもたちのあそび場所のような形でオープンしました。
てらど
地域によって子どもたちの様子は異なりますし、まず場を開いてみることで見えることもありそうですね。
福祉分野で様々なご経験をされてきた三木さん。
子どもたちの「ノリ」を感じながら運営していく
三木さん
一言で言うと開放感いっぱいです。楽しいものを「作る」ということをポイントにスタートしましたが、そうなると一人でやることが多くなります。この前、庭を解放すると走り回っている子どもたちを見て、仲間とルールを守りながら遊べるグループ活動も必要と感じました。今後に向けては集団遊びのプログラムも考えていきたいです。
鈴木さん
遊びを提供をしていく中で、その時の子ども達のノリ具合がわかってきます。みんなで作ろうとしていた「パクパク」という牛乳パックの人形を作らない子がいました。黙って過ごしていたので「自分がしたいものをやってみたら?」と話しかけると紙飛行機を作るといい出して、作り始めていました。
遊びが製作活動ばかりでは、それが嫌な子たちはすぐやめてしまいます。好きなことをする場も大事だと気づきました。
てらど
昔と今で、子どもたちの変化を感じることはありますか?
鈴木さん
びっくりしたのですが、ちょっと前の子どもたちの遊びは「テレビゲーム」でしたが、今はここに来たらすぐiPadを開き、ゲームを始めます。ばぁ〜ちゃんちのメンバーは、iPadより、子ども同士の関わりを求めています。
最初から規制というのは考えていませんでしたが、ある程度期間が経ってきて最近は約束事をつくるようにしています。
てらど
先程聞いた紙飛行機のエピソードのように、子どもたちの個別性も見ていかないといけないのですが、小さな集団の中でルールや別の子たちのやり取りを学ぶというのはこういった地域の居場所の中で丁寧に見られる部分なのかもしれないですね。
鈴木さん
製作が嫌な子が、外で遊ぶことで元気になっている様子を見て、この子はこういうことがしたかったんだなと気づきがありました。
三木さん
鈴木さんは保育士として働いてきていて、
子どもたちのいいところを見つけてくれてるので助かっています。他のメンバーもそれぞれの経験を活かし、子どもたちに関わってくれているので嬉しいです。
七夕イベントをしてくれた時に、子ども達に願い事を書いてもらいました。そのときに小学校3年生や1年生の子がウクライナの戦争のこと、世界の平和についてなど書いていたんです。給料の高い仕事がしたいというのもありました。子どもたちがいろんなことに関心を持っているなと感じました。
手書きで書かれた「ばぁ〜ちゃんち」の看板。
これから居場所を始める方へメッセージ
てらど
最後に、これから居場所を始める方に向けてメッセージをお願いいたします。
三木さん
とにかく自分が楽しんでください。嫌々したらダメです。
スタッフ5名、いろいろな経験がある人がチームになってくれていますので、私は幸せです(笑)みなさんには「私がいなくなっても続けてや」って言ってますが(笑)、この活動を通じて私も元気をもらっています。
三木さん
回数でいうとまだ8回実施したところ、12月でやっと1年が経ちます。
10数名の子どもたちが来ていますが、自分で参加の選択をしていることもわかりました。行ってみたいやってみたい、と子どもたちが思えるばぁ〜ちゃんちでありたいと思います。続けられるところまで、続けていきたいです。
まとめ
これまで様々なご経験をされてきた三木さんのような方が地域にいること、大変心強く感じました。また、三木さんの周りには鈴木さんを始めとする素晴らしいチームがあり、楽しんで運営に取り組まれているのが印象的でした。
居場所の運営は地域と、その地域にいる子どもたちに対して合わせていくこと、その積み重ねが必要なのだと改めて感じました。
三木さん、鈴木さん、忙しい中インタビューに答えていただきありがとうございました!