訪問レポート(2022年12月)
いこっとのWEB学生ライターの森島です。
今回は「今在家BASE」を運営されている小池さんを訪ねました。
ご自身が経営されている「㈱小池製作所」の目の前のスペースと2階の「秘密基地」を活かして、スケートボードを中心とした居場所活動をされています。今後は、工場という特徴を活かして、子どもたちにも「ものづくり」に興味を持ってほしいと、この先の展開も構想されています。
活動を始められたきっかけや、今後の展望についてお話を伺ってきました
小池製作所さんにてインタビューを受けて頂きました。
子どもたちの興味から将来の選択肢を与える居場所へ
寺戸
本日はよろしくお願いします。まずは、普段の活動について教えてください。
小池さん
今在家の工場で、第二・四日曜日の11時から15時まで居場所を運営しています。毎回、4~5人くらい来てくれています。
寺戸
「工場で子どもの居場所」というのは、これまでにない新しい居場所の形だと思いますが、居場所を始められたきっかけを教えていただけますか?
小池さん
最初はただ「楽しいことをやりたい!」という風に考えていました。ちょうどその時に、スケートボードをやっている子から、「スケボーのボックスを作りたい」という話を聞いたんです。
公道だと音が響くのでご近所さんに怒られたり、危ないと言われたりして、街中でスケートボードができる場所自体があんまりないみたいなんです。何をしているわけでもないけど集まっていたら「色眼鏡」でみられたり、とにかく居場所がないみたいで。
寺戸
スケボーは中高生に人気なのに、遊べる場所は少ないんですね。
小池さん
そうなんです。住宅街だと、なかなかスケボーも出来ないと思うので、工場の前のスペースを開放するからやってみたら?と勧めたのがきっかけです。
最初は、1人の子とボックスを作るための材料をホームセンターに買いにいくところから始めました。どういうサイズがいいのかなど、聞きながらボックスを作りました。今となっては、日曜日が近づくと、「明日はやるの?やってなくても行くで~」と、そんなやり取りも生まれています。
スケボーで使うボックスです。
資材置き場が子どもたちの秘密基地へ!?
寺戸
居場所では、スケートボード以外も何かされているんですか?
小池さん
はじめはスケボーがメインだったんですが、いつもスケボ気分とは限らないみたいで(笑)工場2階の資材置き場を整理して、寄付していただいたソファを置きました。
小池さん
ソファでゲームをしたり、本を読んだり、音楽を聞いたり、子どもたちが思い思いの時間を過ごしています。お昼の時間が来たら、一緒に昼食を買いにいったり、時にはご飯を食べにいったりもします。一応15時まで居場所として開放しているのですが、なかなか帰ってくれません。居心地がいいみたいで(笑)
工場2階の資材置き場(秘密基地)。子どもたちが思い思いに過ごしています。
隣にいることから、お互いに言い合える関係を築く
寺戸
子どもたちと関わる際に、大切にされていることはありますか?
小池さん
子どもに対しても、お互いに言い合える関係を築きたいと思っています。あまり言葉にしない子もいますが、はじめは隣にいるだけでいいと思います。
寺戸
ただ隣にいながら、少しずつ距離を縮めていくんですね。
小池さん
目の届く範囲で、距離感を保ちながら関わっています。子ども自身から寄ってこれるような場所を作り、
向こうから寄ってきてくれるような環境をつくれたら、そこが彼らの「居場所」になるんじゃないかと思います。
子どもたちと接する中では意外な一面を見つけたり、普段言い合いをするようなことはありますが、友だち同士、お互いをほおっておけないところがあったり、子どもたちの懐の深さを感じています。
工場内には様々な機械が置かれています。
町工場を通じて子どもたちに様々な選択を与える居場所を目指して
小池さん
2階のソファースペースを囲って、もう少しプライベートな空間にしたいなと考えています。
小池さん
なかなかひとりじゃできないので、手伝ってくださる方も募集しています。
あと工場にある、3Dプリンターや工作機械が、「これなんなん?」と子どもたちとの会話が生まれたらいいなと思っています。工作機械を使って、ものづくりやアクセサリーづくりなどを子どもたちに体験してもらいたいです。
寺戸
工作機械に触れる機会ってなかなかないので、いい経験になりそうですね!
小池さん
いずれは、何か仕事につながっていくような場所にしたいなと思っています。普段はあまり経験することのない加工の時間を通じて、日頃の思いや抱えているものを発散したり、将来につながる何かを見つけてほしいです。
3Dプリンターも置かれています。
運営者として、あきらめずに継続する
寺戸
最後に、これから居場所を始める方に対してメッセージをいただけますか。
小池さん
「継続は力なり」というか「あきらめないこと」、ですかね。でも、自分ひとりで頑張りすぎてしまうと、自分自身もしんどくなってしまいます。
自分だけでどうこうしようとするより、恥をかいてもいいから「SOS」を出せるような関係性を周りの人と築いておいたほうがいいと思います。あきらめずに続けていたら、形になります。
右から、小池さん、学生ライターの森島です。お忙しい中インタビュー応えてくださりありがとうございました。
まとめ
普段は工場を営まれている小池さん。「街中で全力でスケボができる場所がない」「スケボのボックスを作りたい」そんな子ども達のふとした声から、工場前を開放されるようになりました。
小池さんの気さくなお人柄もあり、子どもたちと少しずつ距離を縮められ、子どもたちに必要とされている居場所になっていることを強く感じました。
「工場で実施している」という場の特徴を活かし、機械作業体験から子どもたちの将来に繋げていきたいというお話しもとても印象的でした。コロナ禍で子どもたちが直接何かを体験する機会が減る一方で、働き方の選択肢は多様化が進む現代。子どもたちにとっては、必ず人生の糧になるだろうと思います。
「運営者自身もSOSを出す(他人に助けを求める)」という小池さんのメッセージは、これから子どもの居場所を始めてみたいという方にもぜひお伝えしていきたいです。
小池さん、お忙しい中インタビューに答えてくださってありがとうございました!