はじめに
いこっとWebライターの谷川・森島です。
今回は服部天神から徒歩3分「まんぷくほ~む服部」を運営している与田さんと樺さんにお話を伺いました。
普段「カフェ併設型コインランドリー」と「就労継続支援B型事業所」を運営している場所を使って、子ども食堂と学習支援を隔月で開催しています。
店舗を活用した子どもの居場所の立ち上げの経緯や課題、今後の展望を伺いました。
※就労継続支援B型事業所:障害や年齢、体力などの理由から、一般企業などで雇用契約を結んで働くことが難しい方に対して、就労の機会や生産活動の場を提供する障害福祉サービスのひとつ。
充実したサポートで、30人以上が参加するように
谷川
今日はよろしくお願いいたします。最初に、いつ頃から子どもの居場所を始めたか教えてください。
与田さん
もう7,8年ほど前になると思います。岡町にあるデイサービスの営業が終了した後の時間帯に場所を借りて、月に1度子ども食堂を行っていました。子ども食堂の運営は、運営スタッフを募集することが重要と聞いていたので、人が集まりやすい北部に近いところから始めました。
途中からコロナ禍に入り、テイクアウト形式での開催を行っていましたが、私が代表している団体が服部天神で事業所立ち上げをすることになり、キッチンも使えるので場所を移して実施することになりました。
谷川
場所を変えながら継続されているのですね。現在の活動内容を教えてください。
与田さん
子ども食堂と、学習支援と食堂を組み合わせた日を隔月で交互に実施しています。また、シングルマザーの方や障害があるお子さんのお母さんへ食材配布をしています。他には、不登校の子どもがいるご家庭に訪問することもあります。
森島
どんな子どもたちが参加していますか?
与田さん
子ども食堂は最初の頃は5人~10人くらい、今は30人~40人が参加しています。
当初は中学生が多かったですが、今は小学生が多いですね。学習支援は予約制にしていますが、急遽来れるようになった子どもが参加することもあり、10人~15人ほどが参加しています。
当初は中学生が多かったですが、今は小学生が多いですね。学習支援は予約制にしていますが、急遽来れるようになった子どもが参加することもあり、10人~15人ほどが参加しています。
学習支援はだいたい固定の子どもたちが来ているので、子どもの名前はだいぶ覚えてきました。基本的には近隣の子どもたち同士が一緒に来て、一緒に帰っていくことが多いです。
谷川
イベントではネイルを体験できる日があったりと、子どもたちも喜びそうだなと感じます。学習支援の日は外国人講師の方もいらっしゃるんですね。
与田さん
ボランティアの方がネイル体験をしてくれたんです。宣伝にもなるし、ここでイベントをしたいと声を掛けてくれる人がいます。
当法人の中で英語塾をしているので、そこから外国人講師の方が来てくれています。英語の勉強の時は、カードゲームを通して「楽しい」という気持ちを大切にしています。
谷川
周りの人や資源を活用されているのですね。Instagramでの投稿もかわいらしい印象でとても魅力的です。居場所の告知も、いつもSNSでされていますか?
与田さん
SNSでも告知しますが、毎回地域を変えながら1000枚チラシを配布したり、地域のイベントに出店してチラシを配布したりもしています。たまたまポストに入っていた、と来てくれる方もいるので、まだまだアナログもいいのだなと感じます。ただ仕事の合間に配っているので完璧にはできていないと思うのですが、できる範囲で配布しています。
お腹だけでなく、様々な気持ちも「まんぷく」になる家のような居場所に
谷川
まんぷくほ~むの立ち上げ前から、ずっと子ども食堂をしてみたかったとのことですが、どういった理由からでしょうか?
与田さん
私自身、子育てをしている時に「しんどい」と言うことが恥ずかしいと思っていていました。子育てをしている友達にも、近所の人にも言えませんでした。SOSを出せる場所が欲しかったので、気軽に子育てのことを話せる人がいる場所があればいいな、という想いで始めました。
谷川
実際に子どもの居場所を運営してお気づきのことはありますか?
与田さん
不登校の子どもが多い印象です。お母さんから子どもの食事面での心配ごとや、引きこもりのことを聞きますが、どこにつなげばいいのかというのが課題です。今はフリースクールがあるよ、など分かる範囲で情報提供を行っています。自分たちだけで抱え込まずに、様々なところにつなげるようにしています。
谷川
与田さんのご経験から、まんぷくほ~むを立ち上げ、さらにお母さんたちの話を聞いたり、困っている方がいれば別の場所につなげたりされているんですね。かわいいロゴが特徴の「まんぷくほ~む」。この名前に込めた気持ちを聞かせてください。
与田さん
「まんぷく」という名前ですが、ご飯でおなかが「まんぷく」という意味もありますが、いろいろな意味で満たされて、満足して帰ってほしいなという気持ちで、「まんぷくほ~む」とつけました。豊中でいうとぐーてん子ども食堂さんや、西成のこどもの里さんなどを参考に「ほ~む」、まさに「家」のような居場所にしていきたいです。
ボランティアの定着が課題
森島
居場所を継続していく上で、困っていることなどありますか?
与田さん
子ども食堂も学習支援も、ボランティアさんの定着に関してでしょうか。法人のメンバーも運営に携わってくれていますが、居場所開催の日曜日は働いている人も多いので運営に関わってくれるようなボランティアさんもいればと思っています。1回だけボランティアに来てくれる人は多いのですが、その後も継続して来てくださるようになってほしいなと感じます。
樺さん
特に学習支援は難しい内容もあるので、最低限教えられる人であればいいなと思います。子ども食堂は役割を決めていて、役割ごとに単純作業で難しくならないように工夫しています。
与田さん
子ども食堂の時はバタバタしているので、来てくれたボランティアの人とゆっくり話せる時間が取れないのですが、できるだけいろんなことを聞いて関係性を築けるようにしています。
定着してほしいなと思いつつ、報酬が出るわけではないので難しいなと感じています。
まずは私とLINE交換してもらった後にボランティアのLINEグループに入ってもらうなど、無理なく続けてもらえるように工夫しています
森島
ボランティアの継続は、多くの居場所で抱える課題ですね。初めて来られたボランティアさんにはレクチャーがあるとのことですが、どのようなものでしょうか?
与田さん
子どもと関わる上での基本的なこと、例えばボディータッチを控えるなど、居場所が始まる前に30分ほどレクチャーをしています。ただどうしてもバタバタしている時もあるので、その時は居場所の開催中にお伝えすることもあります。
谷川
初めて居場所にボランティアに来た人が、子どもと接する上で気を付けることを改めて知ることは安心感にもつながっていると思います。
与田さん・樺さん
ボランティアさん大募集しています!いつでもご連絡お待ちしております。
いろんな人を巻き込みながら、継続することを大切に
谷川
日中に来られている就労継続支援B型事業所の利用者さんと、子ども食堂との関わりはあるのでしょうか?
与田さん
利用者さんが事前に子どもたちに配るお菓子を楽しんでラッピングしてくれます。子どもの居場所をしているときに、利用者さんが来ている時もあります。事業所を利用するのはまだハードルが高いけど、居場所のボランティアからだと始められるかも、とチャレンジする方もいらっしゃいます。
谷川
事業所併設ならではだと感じます。与田さんと樺さんから見て、まんぷくほ~むらしさってどういうところでしょうか?
樺さん
「ほ~む」というところでしょうか。僕は叱り役というか・・・そんなに叱ったりはしないんですけど、時々居場所の中で叱るようなことがあるんです。ただ、子どもたちと信頼関係を築いたり、叱った日は親御さんにも一言伝えたりします。結果、その後も叱った子どもたちは、引き続き来てくれています。
与田さん
いろんな人を巻き込んでいるところでしょうか。これからは、お母さんたちも巻き込んでいきたいです。今も協力してくれているお母さんもいるんですが、お母さん同士の輪を広げていきたいなと思います。今はお母さんたちのオープンチャットを作っているので、より気軽に相談や情報提供ができる場を作っていきたいです。
谷川
法人の仲間やボランティアさん、事業所の利用者さんなど多くの方を巻き込みながら運営されているのが印象的です。今後のまんぷくほ~むの展望はいかがでしょうか?
与田さん
まずはボランティアさんやご寄付など、ご協力いただきながら居場所を継続していくことが大事だと思います。運営資金と人材が増えれば・・・フリースクールでもいいですし、たくさんの人の居場所になる本当に「家」のような、まんぷくほ~むを作りたいです。
樺さん
ほ~む、建てたいなと思います!
これから居場所を立ち上げる運営者さんへ
森島
今後居場所を立ち上げる運営者さんにメッセージをお願いします。
与田さん・樺さん
とにかく「継続」です。
与田さん
最初の頃、いろんな方から「継続がなによりも大事」だとよく言われました。特に最初はあれもこれもしたくなってしまいますが、なにより継続することを心掛けてほしいなと思います。
谷川
子どもの居場所を始めたばかりの運営者さんがなかなか子どもが集まらずに焦ってしまう、という話をよく聞きますがいかがでしょうか?
与田さん・樺さん
焦らなくていいです。100%でやりすぎず、頑張りすぎずいろんな人の力を借りながら継続してほしいです。
まとめ
居場所運営を地道に継続することを大事にしながら、いずれ「家のようなまんぷくほ~むを作ること」を目標に掲げているのが伝わってくる、力強い想いが印象的でした。
お忙しい中、与田さん、樺さん、ありがとうございました!