居場所の基本情報
【わくわくルーム】
- 開催日時:
月~金曜日
夏時間(4/8~9/30):15~18時
冬時間(10/1~4/7):14~17時
土・長期休み:10~17時
- 参加費:無料
- 参加受付方法:自由来館(当日受付)
- 対象者:主に小中学生
【学びの場】
- 開催日時:
16~18時(第1,3火曜:小学3,4年算数・国語、第2,4火曜:小学5,6年算数・国語、第2,4水曜:小学5,6年英語)
17:45~19:45(第1,3水曜:中学生)
※日・祝日・年末年始は休み
- 参加費:無料
- 参加受付方法:事前申込
- 対象者:主に小中学生
ひとことメッセージ
「居場所」や「学びの場」を提供し、自信や達成感を感じ、自己肯定感や自尊感情を育むとともに、人との関わり・つながりの中で、自分らしく「生きる力」を育んでいきます。
運営団体
外部リンク
アクセス
- 電話番号:06-6841-5300
- メールアドレス:bwz37306@nifty.com
- 担当者:大住 善則
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訪問レポート(2021年2月)
時代と子どもの変化を居場所から見つめる
いこっとのWEBライターの荒川(あらかわ)です。
今回は第五中学校区で学習支援と居場所づくりをしている一般財団法人とよなか人権文化まちづくり協会の事務局長の酒井さんと豊中・こども事業担当主任の田中さんにお話を聞きました。
お二人のお話から子どもの居場所の原点ともいえる子どもたちに向き合う尊さと意志を感じました。
※お二人それぞれがご回答いただいたことも便宜上、「私たち」と表記している箇所がありますのでご了承ください。
※現在、工事中のため6月以降にリニューアルした人権平和センター 豊中が開館予定です。居場所の写真は現在の開催場所である岡町北住宅集会所であり、2021年6月以降は取材場所である豊中人権平和センターとなります。
酒井さんと田中さんです。お話の端々に力強さを感じます。
60年以上子どもたちを見守ってきた居場所
取材チーム
今日はお時間ありがとうございます。早速ですが、「こどもの学び・居場所事業」について聞かせてください。
酒井さん田中さん
「こどもの学び・居場所事業」は昨年、2020年4月から行政と連携して実施することになっていましたが、コロナの影響で6月からの実施となりました。最初はなかなか思うように始められなかったり、告知できずにいましたが、現在は20名くらいが来てくれています。
酒井さん田中さん
子どもたちが思い思い過ごしています。持ってきたゲームをしている子、折り紙などこちらで用意しているもので遊んでいる子もいます。基本的には宿題を持ってきてもらうことにしていますが、持ってこない子ややらない子もいますね。そこも含めて自分で選んでもらっています。
酒井さん田中さん
居場所では勉強を教えてはいないですが、学びの場では一人ひとりに合わせて個別指導をするような形で登録制の学習支援を行っており、そちらでは元学校の先生が教えてくれています。
取材チーム
「こどもの学び・居場所事業」と別で学習支援事業があるということですね。こういった居場所づくりの活動はいつ頃から実施されているんですか。
酒井さん田中さん
元々この場所は1955年に児童館として建てられました。そういう意味では、もう、60年以上、子どもたちの居場所になっています。
子どもたちが自由に手に取れる漫画コーナーです。
しんどさを抱え込む複雑な背景
酒井さん田中さん
その当時と今では子どもたちを取り巻く環境は大きく変化しています。当時、差別はもっと身近にありました。今は、差別そのものがなくなってきているという見方もされていますが、潜在化し、問題が見えにくくなっています。
酒井さん田中さん
一つひとつの課題もありますが、
その根深さに驚かされることがあります。先日、ある子どもが喧嘩していました。手が出ていたので、「叩いたら、叩かれた方も痛いやろ。相手の立場に立って考えないといかんで。」と伝えました。
以前の感覚で言えば、子ども自身も考えるような素振りがありました。ところが、先日は「俺も叩かれたことあるからええねん。」といった返事が返ってきました。全ての子がそうだとはいいませんが、どうも様子が以前とは異なっているように感じます。
酒井さん田中さん
社会が複雑化したからだと感じます。
目の前の子どもたちの抱える課題の向こう側に、家庭や学校などいくつもの課題が見えてくるようです。その子の向こう側にある課題に取り組もうと思うと体がいくつあっても足りません。
昔なら大変になる前に誰かが手を差し伸べていたかもしれないと思うことがあります。地域のつながりがブツブツと切れていることを実感しています。
子どもたちの色々な物語が生まれる居場所です。
揺れながらも子どもと向き合う
取材チーム
そんな中、子どもたちと関わる上で大切にされていることはありますか。
酒井さん田中さん
色々なことが起こりますが、基本的には子どもたち自身が解決できるように見守っています。喧嘩が起きた時に、すぐに止めに入るんではなく、しばらく様子を見る。どうしても解決が難しそうな時は間に入り、サポートをしています。
取材チーム
関わりを通して、子どもたちに伝えたいことなどはありますか。
酒井さん田中さん
日々の関わり合い一つひとつが人権とつながっていることは伝えたいですね。人権には正解がないので、
私たち自身も揺れながら関わっています。それでも、相手の立場に立って、相手が嫌だと思うことはしないなど、間違ってはいないと思うことを伝えるようにはしています。
日々、私たち自身も学んでいます。この歳になってもまだまだ学ぶことがあるなぁと感じています。
酒井さん田中さん
ありがとうございます。もう一つ、
色々な大人がいることを知って、うまく甘えてもらえればと思います。今の子どもたちを見ていて、関わる人に合わせて話を合わせているように見えます。
大人に合わせなくても、子ども自身が感じていることや思っていることを話してくれたらいいなと思います。辛いことがあったときに、きちっと「大丈夫やで」と伝えられればと思います。
一人ずつ丁寧に話を聞くこと
取材チーム
これから居場所を始める方へ伝えたいことはありますか。
酒井さん田中さん
いろんな子がいてみんな大切な思いを持っています。だからこそ、
一人ずつ丁寧に聴いてあげて欲しいと思います。以前、学校に行けない子がいました。その子はちょっとしたきっかけで行けなくなっていたようです。
最初はなかなか話してくれませんでしたが、丁寧に聞いていると徐々に口を開いてくれるようになりました。話を聞くことで、子どもたち自身が生きやすくなり、一歩踏み出せるようになると感じました。
取材チーム
一人一人の声に耳を傾けるというのは大切だと、皆さん感じておられると思います。ただ、時間のことや子どもたちの人数によっては、なかなか簡単にできることではないと感じます。
酒井さん田中さん
その通りですね。でも、だからこそ大切にして欲しいです。
子どもは子どもなりに大人がどこまで関わってくれるかを見極めています。本音を言ってくれた時にちゃんと聞いているかが重要です。私たちも身近な大人たちが、「子どもたちの目にはどのように映るか」などを子どもの視点に立ってよく考えて行動するようにつとめています。
いつか、その子が大人になって、この地域の子どもたちと関わるような日が来た時に、「こんなこというてた人いたな」、「あの時何しゃべったかわからんけど聞いてくれた人いたな」と思い出してくれたらと。
取材チーム
児童館から受け継がれる「子どもの居場所の原点」に触れられたような気がします。貴重なお話の数々、本当にありがとうございました。
歓迎の気持ちが伝わってくる入り口です
まとめ
豊中人権平和センターは1955年に始まった児童館から60年以上、子どもたちの居場所であり続けています。楽しく遊ぶ時があれば、喧嘩をしたり、傷ついたりしてきた子どもたちの思い出とともにこの場所があるのです。
私たちが関わる居場所で子どもたちと泣いたり笑ったりする日々を1日ずつ紡いでいくことで、一つの歴史を明日につないで行けるのかもしれません。
取材チームの胸中には「子どもたちに何を残せるか?」という問いが残りました。この記事を読んでくださったあなたと一緒にこの問いに、答えを出しながら、子どもたちの居場所を広げていきたいと感じています。
酒井さん、田中さん、お忙しい中ありがとうございました!!
貴重なお話の数々をお伺いさせていただきました。