居場所の基本情報
- 開催場所:豊中市庄内西町3-10-27
- 開催日時:金土日 13:00〜19:00 臨時休業あり
- 参加費:なし
- 参加受付方法:当日(申し込み不要)
- 対象者:年齢その他不問
ひとことメッセージ
ちょっと変わった小さい本屋・ギャラリーです。1人用の机といす、2人がけのソファがあります。子どもも大人も、本を読みたいとき、何か作りたい気分のとき、人と話したいときにお越しください。
運営団体
外部リンク
アクセス
訪問レポート(2021年5月)
創作、それ自体が居場所
いこっとWEBライターの荒川(あらかわ)です。
今回は古くもあり、新しくもある。おしゃれでありながらも親しみのある不思議な本屋さん「犬と街灯」にお邪魔してきました。お話を聞いたのは店主の谷脇さんです。
物腰柔らかな彼はご自身の経験から創作に救われたという表現をされていました。今、時々子どもたちが訪れるようですが、今後、ほんの少し学校に疲れた子どもたちにも訪れてほしいと思っておられます。だからこそ、このインタビューを通じて「犬と街灯」にある人を癒す雰囲気を感じていただけたら嬉しいです。
素敵な内装の本屋さんです。
創る人のための本屋さん
谷脇さん
ありがとうございます。自分の好きな雰囲気を作りたいと思って、机や本の台など、手作りで作りました。
あらかわ
手作りって素敵ですね。一体何のお店になるんでしょうか?
谷脇さん
本屋ですね。金土日開けていて、いわゆる同人誌なども含めて、個人の創作活動の一環として作られた作品を販売しています。時々、アートギャラリーとして絵を飾ることもありますし、詩の朗読会のイベントを開催したりもしています。
日の光が差し込み、陰影が際立っています。
創作に救われる
あらかわ
アートをテーマにしたお店なんですね。谷脇さんはどうしてこちらのお店を構えられたんですか?
谷脇さん
元々、印刷会社で2年、出版社で4年働いていました。それからは会社にも身を置きつつ、フリーランスとして仕事をしています。ずっと商業出版に携わってきたんですけど、プロアマ問わず、創作をする人々の活動を応援したいと思って脱サラしてお店を始めました。
谷脇さん
確かに脱サラして起業といえばそう感じるかもしれませんが、自宅も兼ねていますし、他の仕事をするときのオフィスにもなっています。
好きで始めたところが大きいですね。この場所のことが好きになってくれた人たちにとっての居場所になれば嬉しいです。
常連さんも何人かいて、皆さんと会話するのが楽しいです。
あらかわ
丁寧な関係性を感じます。空間作りで大切にしていることはありますか?
谷脇さん
元々は創る人の為の場所にしたいと思っていましたが、庄内にご縁をいただいてお店を開いてみると、いろんな人が顔を見せてくれました。近所で暮らす方の中にも美術や創作に関心のある方がお店に来てくれるようなこともあり、次第に地域の人や子どもたちにとっても居場所になるといいなと思うようになりました。
あまり多くはありませんが、絵を描くための画材も用意しています。しんどい時に創作が救ってくれると思っている部分があるので創ることを一つの居場所にしてもらえたらと思っています。
あらかわ
創作に救われるって、なんかわかるような気がします。そう考えるようになったのはどうしてですか?
谷脇さん
ずっと人付き合いは苦手なのですが、中学ぐらいから周りの大人に絵を褒めてもらい、創作を通じて、
自分のものの見方や考え方が周囲に受け入れてもらえた気がします。特に学校司書の先生が気に入ってくださり、図書館通信の挿絵を書かせてもらいました。それからは図書館が居場所になりました。
今思えば、学校図書館が犬と街灯の原点かもしれません。
高校から美術部に入って、絵を描いたり美術を志す友達が増えて、今も交流があります。その頃に現代美術に出会い多様な生き方や価値観に触れた時、創作活動の先に「社会」があることを意識し始めました。表現によって社会を変えて行ける、居心地の良い世の中を作れるのではと思いました。大学時代には少しですが、イラストやデザインの仕事をもらえるようになってきました。
でも、もう少し実利的な面では、創作活動によって、苦手な人付き合いやつまらない仕事も面白く変えていける直感が磨かれていったと思います。
あらかわ
表現によって社会を変えていける。何か確信めいたものを感じます。
谷脇さん
とはいえ、もっともらしい言葉にすることもできますが、
何か作らずにはいられない、という感覚のほうが近いかもしれません。創ることが好きだったに尽きると思います。
豊中で活動されている団体さんの文芸誌。
逃げ込める居場所でありたい
あらかわ
とても素敵な想いで共感します。お子さんがこのお店に来ることってあるんですか?
谷脇さん
そんなに多くはないですね。先日は小学校4年生の男の子がお店の前に通りかかって、「何してんの?」って感じで自分からふらっと入ってきたので、その時、手元にあった粘土や折り紙で遊びました。
ある時、その子が弟と一緒にきて、「この兄ちゃん、俺の親友やねん」と紹介してくれました笑。そうか、親友だったんだと笑。
谷脇さん
この場所を知ってくれた子どもたちに、創作の楽しさなども伝えて行けたらいいなぁと思っています。
あらかわ
今後、子どもたちに対してどんな取り組みを考えていますか。
谷脇さん
先生方に怒られるかもしれませんが、中高生がふらっと学校サボって来れるような場所になればいいかなと思います。学校に行きたくない子ってきっといると思うんですけど、そういう子たちにとって行きたいと思える居場所になれたらいいですね。
谷脇さん
あまりイベントなど大きなことは考えていませんが、お店の一角に宿題ができるようなスペースを設けられます。絵を描くこともできます。場合によっては子どもたちの作品をこの店の中に展示してもいいかもしれませんね。
その過程で、地域の皆さんと関わる機会も設けつつ、街の人から信頼してもらえる場所になれたらと思っています。
あらかわ
まさに、これからの色々な可能性をお伺いできてワクワクしてきました。今日は貴重なお話ありがとうございました。
色々な個人・団体さんがここで情報を発信しています。
まとめ
何かを創り出す過程で、人は自分の知らない自分と出会うことがあります。
「私ってしんどかったんだ」
「悲しかったんだ」
「嬉しいのかもしれない」
創作に救われる。創作とともに生きてきた谷脇さんだからこそ”創る”ことのできる居場所のとしての可能性を感じました。
今後、この場所にどんな子どもたちが訪れるのか、今から楽しみです。この空間それ自体がみんなで創る一つの創作になりそうで、インタビューしている僕もワクワクしていました。
谷脇さん、懐深く今回のインタビューを受けてくださり、ありがとうございました!
店主谷脇さんをお店の前で撮らせていただいた一枚。